顎関節症はアゴ以外にも影響を及ぼします!
物を噛むと顎が痛い
口を大きく開けられない
顎が動かすとガクガクして音がする
これらの症状があればご自身で顎関節症とわかりますが、顎・顎関節そのものに症状がなくても、悪い噛み合わせが原因で全身の不快症状・不定愁訴を起こす事があります。
特に頭痛・肩こり・首こり・腰痛は、噛み合わせの不良と関係が深いと言われています。
それ以外にも耳鳴り・めまい・目の充血や痛み・手足のしびれなど、様々な症状を起こすことがあります。また、自律神経失調症の症状・うつ病などとの関係もあると言われています。
最近、ブリッジや入れ歯を変えたら…
どうも肩や腰が痛くなった
なぜか気分が優れない、だるい
このような方は、改めて、噛み合わせの検査をお勧めします
その他にも、義歯やかぶせの噛み合わせの異常ではなく 日常の診療でよく経験するのは、親知らずの歯(智歯)が曲がって生えたり、伸びてきて顎の動きの邪魔をしたりしている症例です。
親知らずを抜いただけで長年の頭痛、肩こりが治った方もおられます。
「歯が悪いと肩が凝る」「肩が凝ると歯が悪くなる」と
昔からよく言われます。
噛み合わせのバランスが全身に深く関与している証拠です。
下のあごの骨体はあごの関節を支点にして頭蓋骨に様々な筋肉で保持、安定されています。
体の中でバランスをとっていた下顎の安定した位置が様々な原因(片側噛みによる歯の移動・歯の欠損によるかみ合わせの低下・かみ合わせの悪い義歯等)で微妙にずれると正常に保持していた頭・顔面・肩・首の筋肉群が異常な緊張を起こし疲労します。
疲労した筋肉は収縮して頭が傾斜したり、肩が一方に下がったりして背骨が彎曲して姿勢が悪くなります。その結果、肩こりや腰痛が起きてもおかしくありません。
当院ではかみ合わせのバランスを見ながら治療をしています。
危険な歯ぎしり・食いしばりの対策
歯の磨耗、歯が割れる、知覚過敏、歯周病を悪化させるなど口の中の破壊だけでなく、
あごの骨に負担がかかり顎関節や頭痛、肩こり、めまい、腰痛など、
全身に悪影響をおよぼす悪魔の歯ぎしり・食いしばり。
朝起きると肩や首筋がガチガチに凝り固まる。
朝起きるとひどい頭痛に悩まされる。
よく寝ても疲れが取れない、寝る前よりもだるい。
この様な症状がある方は、睡眠中の歯ぎしり・食いしばりが原因かもしれません。
歯ぎしりする顎の筋肉(咀嚼筋)は首・背中・顔面の筋肉とつながっています。
歯ぎしりにもいろいろあり、ポリポリ・キリキリと歯を擦り付け音がでるタイプや、ただギーと噛みしめるタイプもあります。
食いしばりは、昼間でもPC使用時などに無意識にされている方もおられます。
歯は、食いしばったり噛みしめたりしなくても、歯と歯を合わせるだけであごの筋肉に負担がかかりこわばりを起こします。
歯ぎしり・食いしばりの原因
なぜ人は、睡眠中に歯ぎしり・食いしばりをするのでしょうか?
残念ながら原因不明です。
噛み合わせの不良やストレスが影響との説もありますが、まだ解明されていません。
現に3歳児でもひどい歯ぎしりで、歯が擦り減っている子供を検診で多く見られます。
逆に歯ぎしりでストレス物質が減ったり、血糖値や血圧が下がるという研究結果もあります。
原因不明の歯ぎしり・食いしばりを止めることはできません。
そこで、良い歯ぎしり(害のない歯ぎしり)に治す必要があります。
自覚の無い人の歯ぎしり、食いしばりの見分け方
●骨隆起 上あごの真中、下アゴの舌の横にある骨の固いふくらみ
●舌の側縁、頬粘膜に見られる歯の圧痕
●くさび状欠損 歯と歯ぐきとのさかいにできるくさび形(V字)の削れ
●起床時のあごのだるさ・張り
歯ぎしり・食いしばり治療
マウスピース
歯自体は、触らず就寝時にプラスチックのマウスピースを装着。
誰もがしていて、ストレス解消など利点もあるが治らない、歯ぎしり食いしばりを害の少ないものにします。歯にかかる過度な力を分散して歯を守り、あごの動きの負担を減らして筋肉、関節の緊張を取り除きます。また、歯ぎしりの嫌な音も出なくなるので、他の症状がなくても音が悩みの方にも効果的です。
噛み合わせ治療
噛み合わせに異常が大きい場合(あごの動きを干渉している、片側の高さが低くてあごが一方に変位)歯を削ったり、足りない部分に付け足したりして噛み合わせを調和させます。この場合もマウスピースの装着は必要です。
当院のマウスピースの特徴
私自身、長年歯ぎしりによる肩こり、首の張りに苦しんでいました。あん摩や鍼治療をすると改善しますが次の日には元通り…。これも職業病と諦めていました。
しかし、様々な噛み合わせ・顎関節症の講習会でマウスピース・スプリントを勉強し、治療を通して、当院独自のマウスピース製作方法に至りました。患者様だけでなく、私も装着し、違和感も少なく、肩こり・首こりには特に効果的です。当院の衛生士や患者様の頭痛解消にも好評です。何より一番喜んでいるのは、安眠できる私の妻です。
以前にマウスピースは作ったものの、違和感が強くて装着できなかったという方も、ぜひご相談ください。
歯ぎしりよりも怖い TCH
TCHとは?
人は普段、上の歯と下の歯は接触していません。
上下の歯が接触するのは会話をする時や食事中、咀嚼している時だけです。
しかし、このように自ずから意識して接触させているとき以外で、上下の歯を無意識の内に接触させてしまう癖をTCH「Tooth Contacting Habit」(歯列接触癖)といいます。
どうなるの?
普段は上下の歯は常に接触しているように思われがちですが、実際に接触している時間は1日20分程度が正常とされています。
しかし、その接触が長時間に及び、顎関節に力がかかることで、噛む際に使う筋肉である「咬筋」や「周囲の筋肉」は緊張状態になり、疲弊してしまいます。
どんな症状がおこるの?
TCHは様々な全身不快症状を引き起こす原因となることもあります。
どんな影響があるの?
THCが習慣化してしまうと、歯や身体に様々な影響を及ぼします。
どんな治療法があるの?
付箋に「歯をはなす」と書いたものを普段目にする所に貼っておきます。
付箋を見たら歯をはなして力を抜きます。
上下の歯を離す習慣づけを毎日に繰り返しているうちに、歯を接触させる癖が治っていきます。
TCH是正プログラム
TCH(Tooth Contacting Habit:歯列接触癖)
よほどの歯列不正がなければ、安静時は上下の歯列は僅かに離れているのが正常です。
TCHとは、覚醒時に上下の歯(一部もしくは全部)を持続的に接触させる癖です。
強い力で噛む「クイシバリ」と違い、弱い力でも接触が持続すると弊害が起きると考えられています。
TCHの弊害
TCHは顎関節症の原因ですが、その他にも歯の摩耗・知覚過敏・歯根破切・修復物の破損・歯周病の悪化などの歯科の問題、睡眠時ブラキシズム(ハギシリ・クイシバリ)の増加、さらには肩こり・頭痛・腰痛などの全身症状とも関係しているようです。
TCH是正
TCHは無意識に起こる「癖」です。
癖なので自分で気をつけることができません。
特に何かに集中(細かい作業・パソコン・料理など)している時に起こりやすいので、
自分で「気をつける」ことは困難です。
また、外からは分からないので他人に指摘してもらうこともできません。
そこで…
強制的に「気づかせる」ようにします。
10~20分毎に目に入るような場所に「歯を離す」と書いたポストイット(付箋)やシールを貼り、それが目に入ったら「歯を当てていないか」をチェックします。
当てていたら歯を離し脱力してください。
そしてそれ以外の時間は「歯を離さなきゃ」と意識しないでください。
意識は無意識に勝てません。
かえってストレスになりTCHが増加します。
続けていると、1~2週間で歯を当てていることが減少してきます。
そして徐々に「歯が当たったら離す癖」が身についてきます。
このプログラムはTCHという「癖」に対抗する別の癖を獲得することが目的です。
運転中など、ポストイットを貼れない場合は、○○色の物が目に入ったら・時計を見たら・タイマーをセットするなど工夫をしてみてください。